君さえいれば-note

君さえいれば どんな勝負も勝ち続ける





・・ご注意・・

この物語に登場する火村英生は、「うちの火村英生」であり、推理作家有栖川有栖氏の著作に登場する火村英生とは別の生物です。




・・うちの火村・・

「うちの火村」とは、諏訪野キョウコさんによる有栖川有栖ファン作品に登場する火村英生を差します。

プロ作家のファンの手による“既存キャラクターを使用した作品”は、ウェブや同人誌等で数多く見られますが、「うちの火村」もそうした物の一つであり、筆者は“読者の解釈による二次的オリジナル”と呼んで差し支えないと考えています。よって有栖川氏オリジナルの火村英生に対して「うちの火村」と呼んでいます。

うちの火村はオリジナルの火村英生とは別の生物と前に述べましたが、その言動はあくまでもオリジナル火村に対する諏訪野さんの“解釈”に基づいてキャラクター形成されています。有栖川氏の著作をお読みの方であれば、オリジナル火村の内包する孤独と闇をご承知かと思います。うちの火村にも同じものが根底にあり、それゆえに彼は「少女アリス」という存在に惹かれています。筆者が“二次的オリジナル”と呼ぶのは、そうした「諏訪野さんの解釈によって生まれた、独自の有栖川有栖世界」の事です。

 この物語は、その“諏訪野さんの有栖川世界”を、更に“読者の視点から”描こうと試みたものです。

 ・・・・いや、決して変態同士を対決させたかっただけでは(爆)




・・諏訪野さんの有栖川世界・・(2015年補足)

 2015年現在、諏訪野さんのサイトは存在しないので、ここでちょっと説明させていただきます。
 この作品には「少女アリス」が登場しますが、彼女は「学生のアリス青年」の、パラレルワールドでの姿です。
 つまり諏訪野さんの有栖川世界は「青年アリス」「少女アリス」「作家アリス」の3つの世界が溶け合って出来ています。
 この作品発表の時点では、その辺りを含め、ストーリーのはっきりした作品がなかったため、「諏訪野さんがこれから書く」ということを前提に、文章を抑えて書きました。多少わかりにくいと思いますが、そういう設定であったことをまずはお話ししておきます。




・・登場人物・・

 この物語には、以下の人物が次々に視点を変えて登場します。

 ・諏訪野さんの有栖川キャラクター・
 作家編から、推理作家・有栖川有栖。
 学生編から、有馬麻里亜。

 ・作者のオリジナルキャラクター・
 本城志郎、小宮山のはら、泉由加、澤田智彦、和泉諒介。

 読者の方々には、やや読みづらい作品だったと思います。
 作者はプロ作家ではありませんので、自作品のキャラクターをこうした“二次的オリジナル作品”に登場させ、認知度の高いキャラクターと絡めるにあたって、慎重かつ丁寧な描写を心がけたつもりではありますが、後はもう、ただの自己満足で終わらない作品に仕上がっている事を祈るばかりです。




・・視点の移動・・

 この物語の特徴は、「視点を変えての一人称による語り」という点にあります。
 書き始めた当初、三人称で書こうとしたのですが、どうも上手くいかない。途中まで書いて、結局一人称に書き直しました。
 “うちの火村と少女アリス”という二人を、彼らを取り巻く人々の目を通して描くことで、「諏訪野さんの有栖川世界」を、その世界の内側から、ナチュラルに表現できたと思っています。

 ・・・・いや、決して諏訪野さんの世界はこーゆーものでは(爆)

 ・・・・ギャグだから!!ギャグだから怒らないでね!!




・・キャラクター達の出逢い・・

 作者の作品キャラクター達にもまたそれぞれの作品世界があるため、この物語は“諏訪野さんの世界”と“作者の世界”が混ざり合った作品となっています。
 そこで作者がもっとも注意を払ったのは「時間の流れ」「他作品との関係」です。

 この物語では少女アリスとEMCと火村、由加と諒介は既に知り合いということになっていますが、これはこの物語の都合で作った設定ではなく、この前にアリスと由加が出会う物語が存在します。まだ書いていませんが(笑)。そしてまた、今後の諏訪野さんの作品の展開を踏まえて、書かずにおいた事がたくさんあります。

 更に、読者の方々が諏訪野さんによる有栖川作品と作者のBBシリーズを読まれた時に、この“ギャグ番外編”が本編とは無関係な“行きずりの犯行的作品”ではない事に気づいていただけると思います。

(作者の「天使とレプリカ」の登場人物は百数十年の未来から出張して来ているので、時間の流れは無視しています)

 キャラクター達は皆、生きています。
 そのため時間の経過とともに心境も変化し成長してゆきます。
 その点を重視し、諏訪野さんと綿密に打ち合わせをしながら書かせていただきました。ですから“読者の作品”と言うよりも(構想・執筆は作者一人ですが)“二人の作品”と言えるでしょう。

 この物語には諏訪野さんと作者も登場します。互いに「姉」「妹」と呼び合っていますが、これは私達が普段から実際にこのように呼び合っているためで、打ち合わせも普段のお喋りの中でそれこそきゃあきゃあ言いながら楽しんで行いました。

 ・・・・命が惜しかったら年齢差は訊かないよーに(爆)




・・姉の・・

 少女アリスは諏訪野さんのオリジナルキャラクターと呼んで差し支えありませんが、その他の人物、つまりEMCメンバーや火村、作家アリスもまた、諏訪野さんの世界でオリジナルとは違う独自の個性を持ち、生き生きと呼吸をしています。
 作者が“諏訪野さんの有栖川世界”に惹かれるのは、彼らの独自性、そこに魅力があるからです。(勿論、作者も諏訪野さん同様、有栖川氏のファンでもあります)

 諏訪野さん側の人物を書くにあたっては、細かに話を伺いました。
「こんな時、マリアならどう思う?」
「火村がこう言ったら、作家アリスは何て言う?」
 作者がこの作品を書き上げる事が出来たのは、諏訪野さんのこうした協力があったからです。この場を借りてお礼申し上げます。
 サンチュ。←それは焼き肉の時に食うやつ

 ・・・・ごめん!!姉の火村、とんでもねー変態だわ!!(爆)




・・妹の・・

 この物語では、視点を次々と移してゆくという手法を活かすのと同時に、諏訪野さんと作者のキャラクターの力関係のバランスを取るために「テレビ番組」という舞台を設定しました。しかし作者のキャラクターの方が前面に出ているのは、一人称での描写のせいだけでなく、やはり私が書いているからに他なりません。

 でもまあ、それでいいかな?と思っています。
 これは私の作品なんだし(笑)
 少女アリスや火村の視点、あるいは他のキャラクターの視点をもっと挟む事で、バランスは取れたのではないか・・・・というご意見の向きもあるかと思います。
 でも、私は「それは諏訪野さんが書いた物を読みたい」と思っておりますので、敢えて書きませんでした。
 諏訪野さんによる少女アリスや暴走特急火村、EMCメンバーの“独自性の魅力”は諏訪野さんにしか書き得ませんし、この作品の読者の方々にも彼女の作品から、その魅力を感じてもらいたいと思っています。

 あ。本当に、これはギャグ編ですから!!
 諏訪野さんのシリアス編火村はこんな変態ではありませんから!!
 ギャグ編の火村は似たようなものですが!!(爆)




・・これから・・

 先程「今後の諏訪野さんの作品の展開を踏まえて書かなかった事がある」と述べましたが、諏訪野さんの“有栖川世界”の奥の深さと広がりは、残念な事に発表済の作品だけではまだまだ窺う事が出来ません。

 本当に、これからが面白いんですよ!!
 今、諏訪野さんの世界と出会った方は運の良い方です。これからどんどん広がりを見せてゆく“諏訪野ワールド”をリアルタイムで見る事が出来るんですから。
 私は何せ「姉」なので(笑)
 読者として、時に共作者として、諏訪野さんと、そして彼女の内なる世界の人々と、同じ時を過ごせる事をとても嬉しく思っています。




・・最後に・・

 打ち合わせの時、姉妹はまるで恐山のイタコのよーに(爆)、それぞれのキャラクターが「そこにいる」つもりで会話をさせるというスタイルを多く取りました。その時の台詞をそのまま使った箇所もあります。
 火村のプロポーズの台詞も、打ち合わせで諏訪野さんの火村が語った言葉を下敷きにしています。

 タイトルの「君さえいれば」はDEENが歌う同タイトルの曲から拝借しました。
 打ち合わせで「俺はおまえがいれば強くなれる」という台詞が出て、私が「天使」を執筆中にこの曲をシュウヘイのテーマとして聴いていたのを思い出し、二人に共通した思いという意味を込めて採用しました。

 ・・・・DEENは好きじゃないけど(苦笑)。この曲だけ。

 この拙い物語を・・・・つーかバカ小説で申し訳ないけど、諏訪野さんの“有栖川世界”に、そしてまた姉妹と仲間達の幸福な出逢いを記念して、捧げちゃったりするんでもらっとけ。


2000.7.30 土用の丑の日 



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