『ぼんやり ぼんやり』


何だか虚ろな今日このごろ、なんです。
歩きながら
食事しながら
授業中でも
 ぼんやり ぼんやり
病院の、待ち合い室が好きです。
お年寄りの中 自分の番を待つあいだ、
何も考えてない自分にハッとします。
一日中でも あのビニールの長椅子に座って、
いたい。
 ぼんやり ぼんやり
ただ 座っていつまでも、自分の番を待って、
いたい。

<何故 何時から>と<何>の字は
ふうわり ふうわり ワタシの周りを浮いてます。
何も考えていない、つまり頭から抜け出た
<何>の字が ふうわり ふうわり
ワタシ ぼんやり ぼんやり
しているわけです。

<何故 何時から>と
ワタシ 静脈ひらいてみます。
赤血球も
白血球も
血小板も
たしかにワタシのものなのですが、
ワタシの中を流れているのはやはり
虚ろなんです。
白い、ゼリー状の、虚無。
ワタシのからだじゅう虚無がめぐりめぐって、

タ メ イ キ。

何だか虚ろな、
そう、<何>の字なくしては語れないんです。
ぱっくり 口をあけた静脈から、
虚無さえ流れ出ていってしまったワタシ、
白いゼリーまみれのワタシ、
 ぼんやり ぼんやり
あのビニールの長椅子にいつまでも、
座って自分の番を待ってます。


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