『僕の6月』


6月が来るそのたびに
背負わされる枷
それは糧でもあるから
そうとわかっているから外せないんだね
ちょっとオセンチになっているその影に一発ぶちかまして
僕は唾を吐きかけて更に言ってやる
勝利宣言ってヤツをさ
下から見上げるアングルで
胸を張って片頬で笑う僕
そんな想像を楽しんでいる
だって恰好いいじゃない

'60でキメた僕は
ちっちゃな丸の赤いレンズのサングラス
世界中が赤く染まってザマアミロって思う
お前ら皆 僕の目には同じ色に映ってるんだ
さあ僕と同じ眼鏡をかけて集まれ
お利口さんに火炎瓶を投げてやれ
大笑いして
シリを出してもお洒落な僕等を見せてやれ

トランキライザーを打ってもらって
急に優しくなった僕は
世界中のアスピリンを海に投げ込んであげようと思い立つ
お利口さんにはペニシリンを配ってまわって
偉人と呼ばれるまでになり
ギターの弦が全部ぶっちぎれるまでかき鳴らす
それから僕はおもむろに古いノートを取り出して
おまえの文字を傷ついた手で押さえつけ血でかき消す
ここでサングラスの役目は終わる
だってもう何もかもが僕の血で赤いから
おまえの文字の息の根を止めてやったから

(テレビを一日眺めていたら
部屋はすっかり青くなってしまった。
僕の赤を塗り潰されてしまい
また始めからやり直しさ。)

ろくがつついたち、ふつか、みっか、
よっか、いつか、
いつかまた雨が降り出す
無彩色に戻してく、
むいか、なのか、
そうなのか、梅雨の晴れの日
僕等は青いペンキを隠せばいい、
よおか、ここのか、
ここの代わりに新しい部屋、
僕とおまえとで仲良く暮らそう、
それからとおか…


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