歌集『橋の上で』


ただ眠れ その純白の魂よ 泥より出づるこの身の内に

穢れたる生き延びし命さながらに空より落つる雨の哮りよ

足下を流るる河の黒き闇 映る光の招くが如く

魂を吸い寄せる音 その流れ いっそ呑まれて沈むが望み

橋の上 闇へと続く外灯の向こうにあるは彼岸かリアルか

今ならばとうに知ったる魂の行方知らずが幸いなりと

片われと信じ続ける愚かさと引き換えの今 欠けたる命

さようなら その決別に殺された命尊しただ美しく

さようなら 墓を建てたり我が半身朽ちて消えよと今宵も祈る




2018.8.22 『6/0』1000カウント記念


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