『モノクローム』


毒を自分の中で処理できない。
かろうじて吐き気はないから
今のうちに濾過して浄化したい。

気持ちに行き場がない。
あるとすればパラダイスだけど
そこは除菌された、塵も許さない清潔な場所だ。

かつて白い箱の中のように感じられた思いが
今は真っ黒に塗り潰された場所にいる。
当然だが窓はなく光は差さない。

ドアはある。前にはなかったが、今はある。
それを開いて外に出ることも可能だが
磨き立てた靴を履かねばならない。

素足が汚れている。
行き場を失う。
まだ靴は失くしていないからなんとかなる。

外は怖ろしく眩しい。
ヴァンパイアのように灰になりそうだ。
そんな細胞で構成されている。

日陰から見る日向は明るく暖かく
誰もが幸福そうだ。
だが知っている、誰しも日陰に潜む時があること。

孤独のフェイクに騙されてはいけない。
私は磨き立てた靴を履き、洗い立ての白いシャツを着て
真っ白な日向へ赴く。こんな怪物の正体を誰も知らない。




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