続・橋の下の家 -記憶のための記録

【記録】
この物語は、2ページ目前半までを2002年頃に、後半以降を2020年に執筆したものです。
『彼』(私は『墓守』と呼んでいる)が戦争体験者である事は、『橋の下の家』執筆時に既に決めていた事でした。『彼』が前作では「どうでもいい事だが」と言って語らなかったのですが、裏設定として私の記憶に20年、あり続けた物でした。


【私】
前作では老人である『私』が主人公でしたが、今作では亡くなっています。前作から1年後くらいだと思ってください。
今作での『私』はそこそこ売れている作家で30代という設定ですが、書き始めた時は人物像がはっきりせず、ただの「死にたがりの旅人」でした(苦笑)
私が書く時の癖になっていますが、ラストがわからないまま書くのは久しぶりで(『いぬみみうさみみ』ではラストは最初に決まっていて、見えない経路を手探りで辿って書いたのもあって)、途中で手が止まって数日過ごすと、もう書けないんじゃないか、と諦めかけたりもしました。


【作家】
書き始めた当初は職業なんて考えてなかった(苦笑)
書き進めるうちに、書いている私とリンクして作家という設定になったという感じです。
彼が作家としてどうあろうと考えているラストには、私の書き手としてのスタンスがそのまま描かれています。ちょっと恥ずかしいです(爆)


【地理】
この物語の舞台は、異世界(架空の世界)となっています。よって、地理的な事は私の頭の中だけにあります。大雑把ですが、この物語に必要なことだけを書いています。


【戦争を知らない】
戦後生まれですから(苦笑)
ただ、他国での紛争、戦はニュースで見ていて、それで得られる程度の知識しかなく、映画などの戦闘シーンを思い出しながら書きました。


【死にたがり】
その気持ちは判ります。判りますが、生まれて来た以上、生きなくては。
「私達の細胞は常に生きる努力をしているよ」
遠藤淑子さんの漫画のセリフです。これを座右の銘に、生きて来ました。


【彼という存在】
彼、墓守(私は『はーちゃん』と呼んでいるw)が橋の下を離れ、町を去ろうというシーンで、「はーちゃんがいなくなったら悲しい」と思いました。そんな彼を説得した『私』は私の思いを代弁してくれました。私にとっても、あの『橋の下の家』は失えない、かけがえのない場所でした。


【タイトル】
悩みました。でもどうしても『橋の下の家』という言葉は私にとって大切なもので…
『続』と付けることで伝えたい思いもありました。


【最後に】
この物語を書かせてくれてありがとう。
そして読んでくださった方、ありがとう。
もう続編はないと思いますが、彼らは私と共に生き続けると思います。

  親愛なる友へ  感謝を込めて